お正月の花を生ける花器をもとめて常滑へ。
思いつきの旅にはありがちな、予定変更の連続。
冬の醍醐味、きんと冷えた澄みわたる空気と清らかな空の青。
今度こそ、メモリーカードを入れたことを確かめて、替えのレンズを後部座席に放り込んで、出発。
師走の街、市内を抜けるのにすこしだけ手こずる。産業道路に出ると、開けた農場や、遠くの港に架かる鉄橋が旅感を強めてくれる。
やわらかい陽の光で温まった車内の空気を入れ替えようと数センチ、窓を開ける。
ー潮の香り。
海岸沿いに、長く長く続く堤防。
その向こうに広がる、水平線。
水面、きらきら。
be careful, not to crush
運転中。
オフシーズンは料金をとらない駐車場に車を停めて、ダウンを羽織って砂浜に降り立つ。
見渡すかぎり広がる濃い青の海原、大きなおもちゃがぽこんぽこんと置かれたみたいな、客船やタンカー。
傾きかけた冬の陽射し反射して、きっと冷たい海をラインストーンのように輝かせる。
浜辺でトレーニングに励む部活の少年たちが入りこまないように注意を払って、シャッターを切る。
灼熱の季節から一転、溌剌さを潜ませた背の高い椰子の木。その葉の届きそうな高い空。
凍える季節も変わらずに、太陽から光の粒が降り注ぐ。わけへだてなく、惜しみなく、ふんだんに。
めいっぱい浴びて、森に包まれそうな我が家へと、帰路につく。
冬至から数日後、日中と呼べる時間は限られて、花器は明日に先送り。
それでもたしかな達成感。今日の新しい光をつかまえた。