車検で車が手元にない本日、急遽電車の旅に出た。
当初の行き先は、名古屋から電車で1時間の二川駅からほどない距離にある「のんほいパーク」。
午後から晴れると言ったじゃないか、声に出さずにつぶやきたくなるような、もわんとした雲。
ときおり雲間から光が射して、窓際の席をやわらかく温めてくれる。
土曜のデイタイム、車内は浮かれた混雑。
名物の天むす5個入り弁当をぺろっとたいらげて、急激な眠気に襲われる。
外は延々と続く田園風景。だだっ広く、平らに。
乗った電車が豊橋駅止まりとわかり、行き先変更。
浜松へ。
ちょうどよかったかもしれない、南下するほどに雲は厚くなり、冷え込む。
それに、カメラにはメモリーカードを入れ忘れてる。
動物園でのロケハンは、春にでも。
まどろんで、乗り過ごしぎりぎり回避。
浜松駅は活気があって、様々な署名活動や呼び込みの声が響く。
ふと思いついて、駅ビルのなかの美容院に入った。
大人っぽく、と憧れて伸ばしていた前髪を切った。
ちょっとだけさっぱりして、ついでみたいに撮影欲を諦めた。
今日は使えないカメラの入った重いバックパック背負って、
地方都市の綺麗なイルミネーションのなかを、ゆっくりと歩く。
欲しいものは、とくにない。
帰りの電車、暑かった雲は散りじりに、向こうの空にはオレンジ色の夕焼け。
にぎやか煌めく街も好きだけど、夕刻の空や雲にはかなわない。
座った席は、ちょうど西側。
オレンジがかった黄金が車内を染める。
気分を持ち上げる、光。
明日へと向かう、太陽からの餞別。
出掛けるときのわくわくはいつだってたまらないけれど、
帰ってくるときの安らぎは大樹のような安心感。
広角レンズでキャッチする代わりに、生きてるこの目でしかと受け止める、まんまるな光の塊を。

陽が沈んだら、太陽のこどもたちみたいな小さな小さな光の粒が現在の街には溢れてる。

まるで海岸沿いの夕刻のように、人々は自由に振る舞い、こどもみたいな笑顔で光を見つめてる。

疲れ顔の人も、なんだかほっとしたような力の抜けた顔で、光を受けてる。

おしゃれな人も、カジュアルな人も、性別も国籍も、いろいろ。

みんな、ぴかぴか光ってるみたいだ。