未来で待ってる穏やかな夕刻 ―発熱の夜、アリゾナにて―

どんな世界に行けるんだろう。

そこに広がるのは、ずっと思い描いている夕焼けの海岸なんだろうな。

早く早く!一番きれいなところに間に合うように!
今日は堤防でトルティーヤ食べて晩御飯にしようよ。
じゃあ帰ってからボトル開けちゃう?
いいね!今日なんか珍しいチーズもらったんだよ、つまみにしよう。雨は?
大丈夫、雨のにおいしないし、西の空も明るい。
よし、行こ!
きれーだねー。
圧倒的だよね。
毎日言ってるね。
毎日見てるからね。
今日は黄金だね。
昨日のピンク系もよかったよね。
毎日いいよね。
毎日新しいね。
暇なんかしてる暇ないね。
一応仕事してるしね。
一応、ていうよりは楽しんでるでしょ。
そうだね、よく知ってるね。仕事も毎日新しいよ。
うん、そう思う。同じ日はないね。
そうだよね。あ、沈む。
あー、…今日のはもうおしまいかー。
また明日見れるよ。
だね、明日は何色かなー。
黄金にかけようかな。
なにかける?週末カレー作る係?
いいね!挽き肉のやつね。
それ結局自分も食べるんじゃん。
そりゃそうだよ、ごはんだもん。
はいもう帰るよ、あ、見て、向こうのグラデーション。
きれー。
もうちょい座ってようか。
そうだね、そうしよ。
ねー、ワイン甘口だった?
辛口かも、でもこのまえ辛口なのに美味しいって言ってたよ。
まじで?覚えてないや。酔ってた?
みんな酔ってたからなあ。
今日も声かけてみる?
呼んだら来るよね、絶対。
うん。間違いない。いつもみんなでいるしね。
じゃあ、おつまみもうちょいいるよね。
帰りになんか買ってく?
やー、作るよ。ウインナー炙ったのでいー?ゴマで煎ったやつ。
いーね。それでいこ。
じゃーそろそろいくかー。
うん。

たわいもないことなんだけどな。
どうしてもそこにたどりつきたい。

そういう日々が近未来に待っている。