台風一過のテラス席

「午後から休みます」
言った途端、雲が流れ去る。
青空、晴れ渡る残暑の。
週半ば、急遽早退して街方面に繰り出す。
隣町のオープンカフェ、台風一過の風が心地いい。
束ねた髪をさらりとほどくと、新しいシャンプーの香り。
思い出す、海で遊んだあとのシャワータイム。

午前中のひと仕事、ポスターをデザインして配色を調整。
本職ではないけれど、楽しい。
それでもねー、外に出たくなるんだなー。
蛍光灯の部屋、椅子に座る数時間、うずうずうずうず…。
そこでひと言、「ここまでやったら今日は帰ります」。
最近やりがち。

今日の判断、正解。
嵐は去った。
晴れ女、パワー全開。
テラス席でのPC作業、適切。
少し歩いた先に、海があったらなあ。
ボードを抱えたサーファーが行き交う、海岸のカフェ。
波の音。

こういうことを思いつく環境に身を置くことの大切さ。
こんなに近くにいい場所があるよ。
イメージが溢れる場所。
思いを育み、希望に変えて、実現に近づける身近な聖地。
そうして島に飛んで行った10代。
そういうのをぐっと圧縮してた20代。
それまでの全部を遠慮なく打破して、進む、進む、30代。
思いついたこと、全部やりたい。
やってみたいことはできること。
おもしろそうなことは好きなこと。
わくわくすることは魂が喜ぶこと。

ひと昔まえの一時、なぜだかちょっと忘れてたそういうことたち。
呼吸が浅く、疲れるのにもの足りない日々。
切なかったな。
イルカが地上で這ってるみたい。
皮膚が乾いて血が滲んで、擦り傷だらけ。
浅瀬から、少しずつ海水に浸かる。
最初はちょっとしみる気がするけど、そんなことない。たいしたことない。
生き返る、身体と心。

隣のおしゃれな男性、仕事の電話かな。自由業っぽい。
斜め向かいの若者2人組、やっぱり仕事の話。IT系らしい。
正面には、台風で休講の学生カップル。垢抜けてて可愛い感じ。
カフェって好き。
ひとがくつろいでいる空間って気持ちがいい。
センスのいい調度品、ダークブラウン。
BGMは洋楽。綺麗な英語。
植栽は若草色。
コーヒーはブラック。
ネイルはモーブ、秋色の。

充電、さしあたり8割がた。

楽園は、こういう場所で創られていく。
また来よう、ここで書こう、何度でも。