朝陽、それからコーヒーとバナナ

朝陽はオレンジ色。
大きな出窓にかけたアイボリーのカーテンを楽々すり抜けて部屋を照らす。
空は水色。
朝の空は黄味がかっていて、甘酸っぱい。

夜遅く眠りについても朝早く起きてしまう。
お酒を飲まなければ、いつもそう。
夕焼けが好き。
星降る夜も好き。
そういうものを感じた翌朝はほんとうに気持ちがいい。

旅の疲れが癒えてきて、
あらためてやってきた喪失感。
セドナのホテルからの景色はよかったな。
朝の光を受けるレッドロックがきれいに見渡せる角部屋。
訪れるまえの自分にはもう戻れなくて、
きっとなんでもそうなんであって、
なにも変わらないのに、
どんどん更新されていく。
その全体が、いい感じとしかいえない。

朝に降ってくる考えはだいたい合っていて、
的中率が高い。
近年ずっとそれによって決まってきた気がする。
なんでも。
だから、静かで清らかな朝が好き。
混じりけのない、純粋100パーセントのまっさらな朝。
朝ごはんまえに、コーヒーを淹れてバナナを食べてPCに向かう。
カフェインと糖分で脳が起きてくる。
脳が起きてしまうと考えが降ってきにくくなる感じがする。
それでもときどき、ふと降りてくる。
住宅街の角を曲がるとき、
高層ビルの間の木漏れ日を浴びたとき、
夕陽の沈む瞬間の煌めきに遭遇したとき、
目の合った赤ちゃんが微笑んだとき、
自転車を漕ぎ出したとき、
メイクがキマったとき、
もっともっと何気ないとき、

――― そういうことか。

腑に落ちて、
納得して、
違和感がなくて、
なにもかも自然で、
完全な仕上がりで感じる、
確信。

数年後、
それも片手におさまるほどの近未来、
想像を現実に創造している。
ほんとうは先に決まっていて、
それを先取りして感じているだけなのかも。